![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=1000x10000:format=jpg/path/scb315897b85a0eb6/image/i095445cfc8ea0e4f/version/1710545094/image.jpg)
幼少期に住んでいたボロアパート
(上は違う)
山の麓を切り崩した一角に建てられた二棟の長屋
大家が仲間とDIYで作った可能性のある建物
ゴミは大家が燃やし、
生ゴミは地中に捨てる
土着民が住む長屋から一段上がった所に大家さんの屋敷は有った
THE日本家屋で、
見事な茅葺き屋根
広めの土間も有った
その大家さんの家には写真の様な縁側が有った
長屋の子供達はわらわらと集まり、
ミニカーを走らせたり、
女子はステージとして使い、ピンクレディの歌真似なんかをしていた
縁台の奥には障子がある
男の子は紙で出来た障子に穴を開けたり、イタズラをしていた
翌日見ると
大家さんが障子紙を花形に切って補修していた
クラスで起きた事ならば、
問答無用で200%疑われるけど、
ここは貧困層のたまり場
どの子がやってもおかしくない環境
ある雨の日
外で遊べないから大家の縁側でミニカーを走らせていた
目の前には障子
幼い少年は、
障子を「思い切り突き破りたい」と言う欲望と戦っていた
貧しめの家庭の子は常日頃から我慢をする癖が、
ついてない
我慢なんて裕福な家の高等技術
欲望との戦いはあっけなく幕が落ち、
いや、
幕は上がり、
手刀一閃、
突き破った
精通レベルの脳内麻薬が溢れ出す
ゾーンに入った自分は、
ショッカーの様な声を上げながら
端から一枚(1マス)ずつ突き破り始めた
「やめられない、とまらない」のかっぱえびせんモード
そこに来たのが大家さん、
ではなく、
お隣のシンくん
おぉーー!!
と声を上げ、満面の笑顔でこっちを見ている
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/scb315897b85a0eb6/image/id2199a62e653d51e/version/1710578806/image.jpg)
奇行を大肯定するかの歓声を上げるシン君
その声と表情を見て加速する突き
しかしシン君も民度は同等
彼も縁台に飛び乗り、
同じ声を出しながら、
合わせながら、
逆端から突き破り出した
爆笑と奇声を上げる子供二人の破壊工作
中々ヤバい絵面だった筈
現行犯では無かったけどバレた
親はとにかく謝った
でも大家さんは余り怒らなかった
そこから何十年と時は流れ、
自分も結婚して息子が産まれた
夏が来たころ
庭の草抜きをしていて目に入った光景
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=704x10000:format=jpg/path/scb315897b85a0eb6/image/ib6daaf7664f432f2/version/1710579545/image.jpg)
THE・男の子
血は争えん