あれは自分が19歳の頃
当時から日本史が好きだった自分は、
日野へ土方歳三の墓参りに行きました
そこにはファンが置いたメッセージ帳が入った缶があり、
皆が想いを書き寄せてありました
交流を目的とした書き込みもあり、
文通やオフ会なんかに発展する切っ掛けになるものだったと思います
無精な自分は、
名刺だけ放り投げて帰りました
一か月後、手紙が届きました
名刺を見て手紙をくれた事が書かれていて、
「○○ 流」という名の中学生でした
田中流か
(仮)
歴史好きっぽいかっこいい名前だ
そんな事を思いながら、
お礼の電話を掛けました
こちらの名前と経緯を告げ、
「ナガレさん居ますか?」
察したお母さんは
「ああ、はいはい」
という感じで替わってくれました
ナガレ中学生は歴史に詳しく、
自分が質問する形で長電話となりました
話は少し反れ、
「部活はやってないの?サッカーとか野球とか?」
と、質問
「えっ… あ… ボク… 女です」
衝撃の一言
ずっと僕と言ってたし、
おとなしい男子かと思っていました
そこは
「そうなんだ…」
と、軽く流し、
有名な志士の子孫だけに伝わっているという肖像画を持っているとの事で、
後日送ってくれる事になりました
一週間程で到着し、
お礼の電話を掛けました
お母さんが出られたので
「ナガレさん居ますか?」
ナガレ?
うちにはナガレなんて居ませんけど?
え?
あの、
中学生の女の子の…
あぁ、翔子ですね!
お待ちください
そして無事に御本人登場の巻
なんなんだ?
本名が翔子なのは分かった
そしてきっと、
ナガレは辞めたんだろう
それも分かったよ
分からないのはお母さん、
アンタだよ!!
うちにナガレなんて居ませんけど?
いやいやいやいや、
居るから!!
いや、
居たから!!!
気持ちよく取り次いでくれたじゃん?
それを
「居ませんけど…」
って…
色々不思議な事が起きたけど、
一番モヤモヤしたのは母の一人芝居だよ
家族で引っ掛けやがって…
良い思い出です