昇格式          青葉区市ヶ尾:RBアカデミー

 ブラジリアン柔術の昇格式に「帯叩き」という儀式があります。これは昇格を果たした人が仲間の間を走り抜け、仲間がその昇格者を帯で思いっきり叩いて祝福するというものです。言葉だけ聞くと野蛮なイメージになってしまいますが、とても楽しく、うれしい伝統的なものです。

RBアカデミーの昇格式では帯叩きはしません。帯叩き自体にはブラジルでも賛否両論あるようですが、だからという訳ではなく、私の師匠が行っていた昇格式が帯叩きではなく、昇格者を一度ずつ投げてお祝いをするというものだったので、それをそのまま受け継いでいます。なので私自身は一度も帯叩きを経験した事も有りません。ライバルが先に昇格をした場合は、嫉妬全開で投げるも良しです。

 昇格制度のある武道の中でも、柔術の昇格は最も困難です。それだけに昇格を果たした時の喜びも大きいようで「車の免許に合格した時よりも嬉しかった」、「大学合格より嬉しかった」「人生の中で最も努力して手に入れたもの」等と形容してくれます。UFCの王者だったケビン・ランでルマン選手が4年のトレーニングを経て青帯に昇格した際にこう言っています。

「これまでに掛けた努力と時間がこの帯には詰まっている。私にとってこの青帯はUFCのベルトよりも重いものだ」

レスリングの全米王者で、UFCの王者でもあったケビンランでルマンが、青帯まで4年というのはかなり厳しい先生だったとも思いますが、それだけにこの様に胸を張れるんです。

それなりの人生経験を積んだ大人が、その経験を投入しても「全く別物」という具合にあしらってしまう柔術の帯は、まさに魅惑的なもので、魔物が棲んでいます。