武士道とは…

 武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり

これは江戸時代に侍の志として記された「葉隠れ」に記載されている言葉です。侍とは、いついかなる時も自分の為ではなく、忠義の為に命を懸けるべきであるという教えです。

それは国や君主を指しています。最強の剣豪である宮本武蔵が侍というよりも浪人と表されるのは、自身の戦いに重きを置いていたからでしょうか。

 

数年前、自分が父親になった日に見直した文章があります。大東亜戦争で亡くなった佐藤章という人が奥様へ送った遺書です。正に武士道です。

**一部抜粋**

短い間ではあったが、心からのお世話になった。俺にとっては日本一の妻であった。

 

小生は何処に居らうとも、君の身辺を守っている。正しい道を正しく直く生き抜いてくれ。

 

子供も、唯堂々と育て上げてくれ。

 

所謂偉くすることもいらぬ。金持ちにする必要もない。

 

日本の運命を負って地下百尺の捨石となる男子を育て上げよ、

 

小生も立派に死んでくる。

 

 

充分体に気をつけて栄へ行く日本の姿を小生の姿と思いつつ強く正しく生き抜いてくれ。

 

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これは当時27歳の青年の残した手紙です。

残した息子をについて、偉くする必要も、金持ちにする必要も無い。人知れず影で人の役に立つような男に育ててくれと書かれています。初めてこれを読んだ時、煩悩、私利私欲まみれの自分には衝撃的な文章でした。

 

そんな自分にも子供が生まれ、「産んだのも痛かったのも嫁さんだから現時点では親と名乗るのも気が引けるなぁ。少しはちゃんとしなければ」と思い、先人に習おうとこの手紙を読み返しました。

 

 話は変わり、刀をバットに持ち替えた侍イチローについて、マリナーズの監督がこんな事を話していました。

「今このチームは優勝には縁がない。こんな状況にありながら、イチローはチームの勝利の事を第一に考えている。大きくリードされた試合の終盤でも、彼の前にランナーが出ると彼は自分を犠牲にしてランナーを進ませようとする。自身の記録が掛かっている状況であるにも関わらずだ。もう自分の記録を最優先にして貰いたい」

 

さすがです。優秀さゆえにサムライと評されたイチローですが、実は葉隠れの「武士道とは… 」の境地に立っていたんです。

 

恐れ入りました。